2005年06月27日

効用理論

前回は効用、効用関数、限界効用という言葉について説明しました。
今回はこれらを含み、効用と消費者行動との関係を説明します。

<期待効用>

理論を単純化するために、サイコロゲームというものを考えます。
サイコロを振って出た目から、aの確率でx1という金額が得られ、1−aという確率でx2という金額が得られるとします。

この時の効用関数は、
 U(x)=a・u(x1)+(1−a)・u(x2)
となります。
これは、x1、x2から得られる効用の期待値の和となります。

これが、サイコロゲームに対する期待効用です。
一般的には、この期待効用を最大化したいと考えるのが個人の行動です。

<サイコロゲーム>

具体的に考えます。次のゲーム例(1),(2)を見てください。

(1)サイコロを振って、奇数が出たら1,000円もらえる、偶数が出たら1,000円払う。

この時の期待効用は、上記の式を使うと次のようになります。
 U(ゲーム1)=1/2・u(1,000)+1/2・u(-1,000)
今、10,000円手元に持っていたとすると、奇数・偶数が出る確率は1/2ずつなので、期待効用は 11,000円と 9,000円の場合の効用の中間点になります。(図1)
この時は基本的に、期待効用は下がる傾向にあります。

ゲーム1.JPG
図1:ゲーム(1)の期待効用

このように、ゲームの期待値が0のゲームを「公平なゲーム」と呼びます。

(2)サイコロを振って、1が出たら10,000円もらえる、その他が出たら1,000円払う。

この時の期待効用は、同様に次のように成ります。
 U(ゲーム2)=1/6・u(10,000)+5/6・u(-1,000)
今、10,000円手元に持っていたとすると、1が出る確率は1/6、その他が出る確率は5/6なので、期待効用は 20,000円と 9,000円の効用の 5/6の位置になります。(図2)
この時は、もしかしたら期待効用が上がるかもしれません。

ゲーム2.JPG
図2:ゲーム(2)の期待効用

このゲームは期待値が0ではないため、公平なゲームとは言えません。
しかし、このゲームの参加費が期待値(5,000円)と同額である場合、そのゲームを「公平なゲーム」と呼びます。

<危険回避行動>

世の中にはゲーム(2)のような、挑戦者に有利なゲームはほとんどありません。
公平なゲームか、もっと不利なゲームがほとんどです。
公平なゲームについては、挑戦した場合の期待効用が下がることを示しました。

一般的に、個々人は危険回避行動を取ると言われています。
従って、たとえ公平なゲームであっても全体としての期待効用が下がる以上、そのゲームには挑戦しない、というのが消費者の行動心理となります。

ところが、ゲームの参加自体への効用というものがあるため、賭け事や宝くじといったものは永遠になくならないのです。


ということで、2回に渡り効用理論というものを説明しました。
posted by jhirano at 10:44| ☁| Comment(8) | TrackBack(1) | 経済学(ミクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月25日

効用関数

ミクロ経済における消費者行動の分析理論として「効用理論」というものがあります。
これについて、次回との2回に渡り説明したいと思います。
今日は「効用」「効用関数」というものを説明します。

<効用>

経済学における「効用」とは、「財やサービスが消費者の欲望を満足させる度合い」を意味します(大辞林より)。消費者は何かを購入すると、「製品それ自体からの効用」と「取引からの効用」を得ることができます。(もちろんこれに「支払い価格」というマイナス要因があります)欲望を満足させるもの、これが効用です。

効用という概念は「総効用」と「限界効用」に分けることができます。
総効用とは、消費する財全体から得られる満足の大きさのことです。
限界効用とは、財の消費量を1単位増加した時に得られる総効用の増加分のことです。

<効用関数>

総効用というのは、消費量が増えるほどその増加率が小さくなります。(図1)
これは例えば、100万円が200万円になるとうれしいけど、500万円が600万円になってもそれほどはうれしくない、という理屈と同じです。同じ100万円という増加分が、満足感の上昇に違いを起こしているのです。図1は効用関数と言います。

効用関数.JPG

図1:効用関数

これを消費量と限界効用の関係で表したのが図2です。
このような消費者行動を「限界効用逓減の法則」と言います。
(逓減(ていげん):時と共にだんだん(徐々に)減ること)

限界効用逓減の法則.JPG

図2:限界効用逓減の法則

一般的に、家計はこの効用水準を可能な限り大きくするように行動する、と言われています。


以上、本日は効用と効用関数について説明しました。
posted by jhirano at 21:32| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学(ミクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月24日

市場の失敗

今日はミクロ経済における「市場の失敗」という言葉について説明します。

<市場の失敗>

前々回の「需要と供給の調整機能」で説明しましたが、現実の経済・市場においては「完全競争」というものはほとんど存在していません。経済学の世界では、こういった状況を含め市場メカニズムがうまく作用しない場合を「市場の失敗」と呼んでいます。(これは広義の市場の失敗で、狭義には完全競争が成立しているのに、効率的な資源配分が行われない場合を市場の失敗と言います。)

市場の失敗の具体的な状況は、様々な分類で考えられています。ここでは、(1)不完全競争、(2)外部効果、(3)公共財という3つの状況を説明します。

<(1)不完全競争>

生産者が1社(独占)または少数(寡占)であると、生産者側に価格をコントロールできる力が生じます。消費者側は選択権が少なく、生産者側の決めた価格・供給量に従わざるを得ません。こういった状況は政府の独占禁止政策などで制限されます。詳しくは別途、完全競争/不完全競争について説明したいと思います。

<(2)外部効果>

外部効果とは、ある経済主体の行動が、市場を通さずに他の経済主体に影響を与えることを言います。例えば、工場が排煙・排ガス・廃水などで環境汚染をすることは、お金のやり取り(市場)を通して行っていることではありません。そこで生産された製品には、環境汚染費用というのは含まれていません。

市場の動き(製品の売買)と社会的な資源配分に乖離ができてしまう、という状況に陥ります。市場的には良くても社会的に別の影響を与える、これは狭義の市場の失敗に含まれます。

<(3)公共財>

公共財とは、公園や道路といったような受益者負担の難しいものを言います。例えば、公園のブランコは利用しないのでお金を払いません、とは言えません。あれば使うけど、なくても自らがお金を払ってまで作ろうとは思わない、というようなものです。

こういったものは政府や役所が税金を使って供給することになります。その際の決定権(何を、いつ、どれだけ作るか)が問題になります。実際には政府や役所・議会といった社会的に供給が調整されるため、市場の問題ではなくなります。公共財は生産・費用の流れが発生するものですが、市場ではなく社会的な議論となりますので、これも狭義の市場の失敗の一つとなります。


以上、本日は市場の失敗という言葉について説明しました。
posted by jhirano at 11:34| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学(ミクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月23日

需要と供給と弾力性の概念

今日はミクロ経済学における「弾力性」という概念について説明します。

<需要の価格弾力性>

一般的に、価格が上がると需要は減少すると言われています。
この時、価格が1%変化した時に、需要が何%変化するかを表す指標を需要の価格弾力性と言います。

需要の価格弾力性 = 需要量の変化率 / 価格の変化率

価格が上がると需要量は下がります。価格が下がると需要量は上がります。
つまり、需要の価格弾力性は必ず負の値になります。
そこで、一般的には絶対値の値を使って、弾力性=+○○と言います。

弾力性が1より大きい時、「需要は弾力的である」と言います。
この時、価格が1%変化する時の需要量の変化率は1%より大きくなります。

弾力性が1より小さい時、「需要は非弾力的である」と言います。
この時、価格が1%変化する時の需要量の変化率は1%未満になります。

<供給の価格弾力性>

需要の価格弾力性と同様に考えます。
つまり、価格が1%変化した時に、供給が何%変化するかを表す指標を供給の価格弾力性と言います。数値は同様に絶対値を使うのが一般的です。

供給の価格弾力性 = 供給量の変化率 / 価格の変化率

弾力性が1より大きい時、「供給は弾力的である」と言います。
この時、価格が1%変化する時の供給量の変化率は1%より大きくなります。

弾力性が1より小さい時、「供給は非弾力的である」と言います。
この時、価格が1%変化する時の供給量の変化率は1%未満になります。


以上、本日は弾力性という概念について説明しました。

---
ダメな会社ほど社員をコキ使う 「愚直」論 問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい? 人は仕事で磨かれる 渋谷ではたらく社長の告白 経営学( 著者: 小倉昌男 | 出版社: 日経BP社/日経BP出版センター ) 【送料無料商品】プロ論。 仕事はカネじゃない! 破天荒2 ( 著者: ケビン・フライバーグ / ジャッキー・フライバーグ | ... 
posted by jhirano at 16:59| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学(ミクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月22日

需要と供給の調整機能

前回は市場メカニズムと市場の均衡について簡潔に紹介しました。
今回は、需要と供給が均衡していない時の、市場の調整方法について説明します。

<完全競争>

一般的に経済学では、市場を完全競争というモデルとして想定しています。

完全競争市場とは以下のようなモデルです。
・多数の小規模な買い手と売り手が存在する。
・売り手が生産する同一種の商品には差別性が無い。
・売買に制約はなく、消費者も生産者も好きなだけ売買できる。
・売り手と買い手を結ぶのは市場メカニズムで調整された価格である。

詳しくは別途説明しますが、今回の「需要と供給の均衡」も完全競争を前提としたものです。

<需要と供給の調整>

需要と供給に均衡が保たれていない場合、以下の3つの調整過程によって市場は均衡状態に向かいます。

(1)ワルラスの調整過程
 需要が供給を上回っている時に、価格が上昇して均衡状態に向かう。
 需要が供給を下回っている時に、価格が下落して均衡状態に向かう。

(2)マーシャルの調整過程
 需要が供給を上回っている時に、生産量が増えて均衡状態に向かう。
 需要が供給を下回っている時に、生産量が減って均衡状態に向かう。

(3)クモの巣の調整過程
 価格の上下変動と生産量の増減が交互に起きながら均衡状態に向かう。
 ((1)と(2)が交互/同時並行的に起きる。)

このように完全競争の元では、自動的に市場の均衡が達せられると考えられています。(実際は完全競争自体がほとんどないので、机上の空論ですが。)

---
click! click! click! click! click!
posted by jhirano at 10:35| ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 経済学(ミクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月21日

市場メカニズム・市場均衡

今日からミクロ経済の説明に入りたいと思います。

以前も述べたように、マクロ経済は「国家の経済全体をみる」ことでした。
ミクロ経済は「企業や一消費者などの個別主体をみる」考え方です。
こちらの方が身近なので、よりわかりやすいかと思われます。

<市場メカニズム>

まず最初は「市場メカニズム」についてです。
市場メカニズムを簡単に言うと「モノの需要と供給は、その価格によって調整される、資源配分の仕組み」ということです。要は、欲しい人が多ければ高く売れる、モノが多過ぎると安くしか売れない、という現象です。これを経済学では市場(しじょう)メカニズムと呼んでいます。

これを端的に説明した、よく見かける図が下記のものです。

需要曲線と供給曲線.jpg
図:市場メカニズムの需要曲線と供給曲線

需要曲線はモノを欲しがる強さの変化を表したもの、供給曲線はモノを売りたがる強さの変化を表したもの、です。価格が下がれば購買量は増え、価格が上がれば生産量(売りたい量)が増える、というものです。実際の経済ではこれほど単純ではありませんが、現代経済の基本とされるわかりやすいメカニズムです。

<市場均衡>

上図のE点の状態を「市場の均衡」と言います。モノの売れ残りも品切れも生じないような状態です。現代では、市場の動きに任せれば自動的にこの状態で安定するようになると考えられています。つまり、現代の経済には市場メカニズムに対する信頼がある、ということです。


以上、簡単ではありましたが本日はミクロ経済学の基礎である市場メカニズムについて説明しました。

---
click!click!click!click!
posted by jhirano at 11:20| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学(ミクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月20日

国際収支と為替変動

今日は国際収支と為替変動について説明します。簡単に言うと、国際収支とは「外国との経済取引を大局的に体系化したもの」のことです。つまり、外国との財や貨幣のやり取りが統計されたもの、です。この統計値が為替の変動に大きく影響します。今日はその辺を順に説明します。

<国際収支>

日本における国際収支は、日本銀行が国際収支統計として公表しています。
これは、外国と行った経済取引を1ヶ月・四半期などで統計したものです。
体系的には以下のようなものとなっています。

国際収支

├経常収支
|├貿易・サービス収支
|| ├貿易収支:財の輸出入など
|| └サービス収支:旅行、保険など
|├所得収支 :海外から獲得する所得と外国資本が自国内で獲得する所得
|└経常移転収支:寄付金など

├資本収支
| ├投資収支   :直接投資や証券投資など
| └その他資本収支:開発協力の無償供与など

└外貨準備増減:通貨当局が調整する公的な外貨資産の増減


本図は中小企業診断士試験全科目の要点と合格対策から一部参照しました。

詳しい解説や、国際収支の統計値などは(財)日本関税協会のページでご確認ください。

また、国際収支は以下の等式が成り立っています。
経常収支+資本収支+外貨準備増減+誤差脱漏 = 0

<為替>

自国と他国の貨幣の交換比率を為替レートと呼びます。為替制度には固定為替相場制変動為替相場制があります。変動制では、需給調整は市場メカニズムの交換比率から決まります。

日本の「円」と外貨の間は変動相場制になっています。為替相場は、外国為替市場によって取引され、時々刻々と変動します。外国との間で取引を行う企業では、予期せぬ利益/損益が生じる場合があります。(1ドル=110円と、1ドル=120円では利益に差が出ることはわかりますよね。)変動相場制にはこのようなリスクが潜んでいます。

<為替変動の原因>

では、為替変動は何が原因で起きるのでしょうか?主な原因は以下の3つです。

(1)ファンダメンタルズ
 ファンダメンタルズとは、経済の基礎的な条件のことです。
 具体的には、経済成長率・国際収支・雇用統計(失業率・就業者数)・
 物価指数・対外バランス・原油価格などの数値のことです。

(2)市場の需給
 市場の需給とは、企業や機関投資家などによる外貨取引量のバランスの
 ことです。外国企業の日本法人設立・買収や機関投資家の外国証券投資、
 海外投資家の日本証券投資などにより、双方の通貨が必要とされることです。

(3)通貨政策
 これが為替変動の要因としては最も重要です。
 ・ニクソンショック(1971年:1ドル 308円へ切り上げ)
 ・カーターショック(1978年:1ドル 180円を割る)
 ・プラザ合意(1985年:2年後に1ドル 120円まで下がる)
 など、円対ドルだけを見ても、通貨政策の影響の大きさがわかります。

このように、国際収支と為替変動との間には密接な関係があります。
その仕組みの理解に少しでも役立てれば幸いです。

# 本稿は国際収支・為替変動に関するページを参照させて頂きました。

---
click! click! click! click!
posted by jhirano at 14:34| ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | 経済学(マクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月19日

比較生産費と貿易理論

今日はマクロ経済の中でも、国際的な経済の動きである貿易理論と比較生産費について説明します。

<現代の貿易理論>

現代では、基本的に貿易は自由貿易であるべきと言われています。経済学だけの問題としてみると、生産性の高い国から輸入すべきという考えです。輸入を間接的な生産と考えると、より安く生産できる方法を選んだ方が経済効率が良いということです。

自由貿易を推進するために、国際的には1947年にGATT(関税および貿易に関する一般協定)が結ばれました。そして、ケネディ・ラウンド(1967年)、東京ラウンド(1979年)、ウルグアイ・ラウンド(1994年)等の貿易交渉を通じて、貿易における関税の引き下げなどが実現しました。こういった動きを受けて、1995年にWTO(世界貿易機関)が設立されました。

しかし、経済学においても例外的に保護貿易というものが認められています。それは「幼稚産業を育成する場合」のみです。かつての日本の自動車産業やコンピュータ産業などのようなものです。将来的に国の代表産業として育成したいような産業についてです。この説を最初に唱えたのは19世紀のドイツの経済学者リストです。具体的には、関税をかけたり輸入制限をするなどして、保護貿易を実現します。

<比較生産費説>

この自由貿易の論拠となっているのが、イギリスの経済学者リカードが唱えた比較生産費説です。ある国が、他国と比べて生産効率の高い(比較優位な)生産物に特化することで、それを他国と交換することが利益につながる、というものです。比較優位とは、ある生産物だけの生産効率を比べるのではなく、他の生産物を基準にして生産効率を比べることです。

また、リカードの説の根底を説明した理論として、国際経済学者ヘクシャーオーリンの定理(要素価格均等化定理)というものもあります。これは、ある資源が豊富な国は、そこから作り出した財を輸出するというものです。各国が得意分野を生産・輸出することで、輸出入の流れは一方的かつ全ての生産物は各国で均等化されるというものです。

リカードの説にしろ、ヘクシャー=オーリンの定理にしろ、現実世界はもっと複雑であるため、あくまで経済学の基礎理論として位置付けられています。


以上、比較生産費と貿易理論の説明でした。

# 本稿は貿易の基礎理論などのページを参照させて頂きました。

---
コーヒー鑑定士が選ぶ水出しコーヒー水につけるだけ!? <コーヒー鑑定士が選ぶ水出しコーヒーパック>
 アイスコーヒー飲みたいけど豆から淹れるのは面倒、という方はこちら。
 1リットルくらいの水にパックを入れて一晩待つだけ。朝にはおいしく飲めます。

ハリオ 水出しコーヒーポット <ハリオ 水出しコーヒーポット>
 コーヒーパックで作るならこちら。豆からも水出しコーヒーを作れます。

ガムシロップ 1リットル <ガムシロップ 1リットル>!
 自宅でアイスコーヒーを楽しむときは便利です。
 ポーションタイプと違って、好みの量で使えますし、お徳ですよ。

posted by jhirano at 15:13| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学(マクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月18日

主要経済理論

今日は現代経済学の基礎となっている「ケインズ理論」をはじめ、主要な経済理論について説明します。具体的には、古典派経済学、ケインズ理論、サプライサイド理論、マネタリズム、新古典派理論、新保守主義について、非常に簡潔に説明します。

<古典派経済学>

古典派は、1929年以前の経済学の基本となっていた理論です。これは、価格(物価)の変動により需要と供給が均衡し、景気が良くなると考えた理論です。

例えば、パソコンが一台20万円で100台売っていたとします。しかし消費者が80台しか買わなかった時に、一台15万円にすれば残りの20台も売れるだろうと考えます。全部売れればメーカーは生産台数を増やすので、景気は良くなるだろう、という考え方です。

実際の経済では、そんなことはほとんど有り得ないですよね。

<ケインズ理論>

そこで登場したのがケインズ理論です。古典派では不況に対する説明がつきません。1929年というのは世界恐慌が起きた年で、この時にケインズが一般理論と有効需要の理論を提唱しました。

これは、現実は売れなくても価格は下がらず、売れない原因は需要が少ないことにある、とした理論です。企業は売れないと生産量を減らすので、需要が増えない限り不況は脱せません。需要を(大きく)増やすためには政府の支出で調節すべき、と提唱しました。

これが不況を説明する理論となり、古典派が好況を説明する理論で、双方を使って経済の動きを説明できるようになりました。

<サプライサイド理論>

サプライサイド理論とは、米国のレーガン政権で採用された理論です。需要を増やすための政府支出は全く意味がないと考えています。インパクトが大きいのは減税による効果で、減税→企業の投資拡大→企業が儲かる→税収アップという循環を想定しています。

税率は下げるが、下げた分を上回る税収を得られる、という理論です。

<マネタリズム>

マネタリズムはアメリカの経済学者フリードマンが中心的に唱えた理論です。金融引き締め(通貨・現金の供給抑制)によって景気の過熱を抑えるという理論です。インフレ(物価上昇、貨幣価値減少)を防ぐためには、貨幣の供給を抑えれば良い、と考えたものです。

イギリスのサッチャー政権でも採用されました。サッチャーは、利子率を上げることで預金が増え(つまり現金保有が減り)、通貨の供給引き締めを実現しました。

<新古典派理論>

新古典派とは、一言で言うと自由放任主義ということです。ケインズ理論が短期的な経済学と考えると、新古典派は長期的なものです。昨日のIS-LM分析で説明したように、完全雇用の実現までがケインズ理論です。その後の市場の需給調整により、自由競争で経済が成り立つ、と考えています。

<新保守主義>

英語のネオコンサバティズム(Neoconservatism)を略してネオコンと言われる理論です。1970年代ころに登場し、経済的に小さな政府(政府の市場介入を極小化し、個人責任で市場を形成する考え方)を重視した考え方です。日本では中曽根首相が新保守主義の代表と言われています。

民間任せ、減税、福祉削減、規制緩和などが主なキーワードで特徴付けられる理論です。日本でも1990年代に規制緩和の波が押し寄せていますが、批判や疑問を招いている部分もあります。この規制緩和は新保守主義の考え方によるものです。


以上、非常に簡潔ではありましたが主要な経済理論を説明してきました。
どの理論も経済市場を完璧に説明するものではありませんが、時代と共に理論も変わってきている、というところでしょうか。

---
click!click!click!click!click!


posted by jhirano at 21:57| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学(マクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月17日

IS-LM分析

今日はマクロ経済における中心的な分析手法であるIS-LM分析を説明します。
これは正直、非常に難しく、複雑な式などが存在するのですが、ここでは簡潔に説明したいと思います。詳しく知りたい方は専門書などを読んでください。

IS-LM分析とは、国民所得(国民全体が得る所得の総額)の均衡した状態を分析する手法です。ケインズ(別途説明)理論の内容を図示しようと考案されたものです。政府による財政政策の基本になると言われている手法です。

<IS曲線>

IはInvestment(投資)、SはSaving(貯蓄)のことで、投資と貯蓄の関係を表す曲線です。分析の目的から、縦軸を利子率、横軸を国民所得として曲線を描きます。

利子率(銀行に預けた場合の利子率を考えてください)が上がると、個人や企業は投資をせずに貯蓄を行います。企業が貯蓄を行うと、社員への給与は減ります。また、新規投資が減ることで雇用や仕事が減り、結果的に社員(国民)の所得も減ります。

つまり、利子率が上がると国民所得は減り、利子率が下がると国民所得が増えます。これを表したのがIS曲線です。難しく言うと「財市場の均衡を達成する国民所得と利子率の組み合わせを関数で表したもの」となります。一番下に図示しましたが、一般的には右下がりの曲線になります。財市場の均衡とは、モノやサービスの需要と供給が一致する状態のことを言います。

<LM曲線>

LはLiquidity Preference(流動性選好)、MはMoney Supply(貨幣供給)のことで、貨幣の供給量とその保有嗜好との関係を表す曲線です。流動性選好とは、貨幣をそのまま(現金)で保有したがる度合いのことです。

実際には貨幣の供給量というのは、貨幣の需要に応じて調整されるものです。そこで貨幣の需要について考えることにします。貨幣の需要とは現金で持ちたがる機運のことを言います。

IS曲線と同様に、利子率と国民所得のグラフで考えます。まず利子率が上がると現金を銀行などに預けたり、債券を保有したがるようになります。現金を手放すので貨幣需要は減ります。一方、所得が上がると貨幣需要も増えますが、市場や国による調整が入り利子率が上がります。利子率が上がると貨幣需要が減って、均衡が保たれるというわけです。

つまり、国民所得が上がると利子率が上がることを示しています。LM曲線はIS曲線の「財市場の均衡」に対して、「貨幣市場の均衡」を表す曲線となっています。貨幣市場の均衡とは、貨幣(現金)の需給が一致する状態のことを言います。この曲線は、一般的には右上がりの曲線になります。

<IS-LM分析>

下図のように、IS曲線とLM曲線の交点を分析します。この交点(E)は財市場と貨幣市場の同時均衡点を表します。つまり、モノやサービスの流通と、貨幣の流通がバランスよく均衡が取れている状態、ということです。

IS-LM分析.JPG
図:IS-LM分析のイメージ

均衡点(E)の時に、完全雇用(失業率ゼロ)の状態であれば、市場が極めて均衡な状態と言えます。実際にはそんなことはなく、その状態を作り出そうとするのが政府の財政政策(政府支出)であったり金融政策であったりします。政府支出はIS曲線を上に押し上げ、金融政策(貨幣供給量の増加)はLM曲線を下に押し下げる効果があります。

このようにして国民所得と利子率を同時に決定するのがIS-LM分析です。


本日はマクロ経済学の肝とも言うべき、IS-LM分析について説明しました。
非常に難しいですが、こういった大局的視点で経済を眺めることも必要ですね。
posted by jhirano at 22:17| ☔| Comment(8) | TrackBack(5) | 経済学(マクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月16日

主な経済指標

今日はマクロ経済における主要な経済指標を簡単に説明します。
説明するのは、雇用統計・鉱工業生産指数・消費者物価指数・国内企業物価指数・工業統計・商業統計・産業連関表・景気動向指数についてです。

<雇用統計>

厚生労働省が実施している労働統計のうち、雇用に関する統計の総称です。

雇用(入職・離職等)、給与、労働時間、勤務日数などの調査を行い、その結果を公表しています。完全失業率や有効求人倍率などもこの統計の一部です。

<鉱工業生産指数>

日本の産業には、農林漁業・建設業・製造業・サービス業など様々な業種があります。これらの中で、鉱業と製造業が生産している量を指数としてまとめたもののことです。生産・出荷・在庫・在庫率という4つの指数が算出・提供されています。例えば、銅の生産(産出)が増えると指数は上昇します。これは日本の生産状況を測る上で、最も代表的な指標として取り上げられています。
(さすが「モノづくり日本」ですね。)

<消費者物価指数>

英語では CPI(Consumer Price Index)と言います。
これは、全国の世帯が購入する各種の商品(サービスも含む)の価格の、平均的な変動を測定するものです。すなわち、ある時点の世帯の消費構造を基準に、それと同等のものを購入した場合に必要な費用が、どのように変動したかを指数値で表しているものです。

<国内企業物価指数>

企業間における商品の取引価格に焦点を当てた物価指数です。以前は「卸売物価指数」と言われていました。企業間取引も、消費者の需要意欲を反映するため、この指数が景気判断に活用できると考えられています。特に、国内向けの国産商品の企業間における取引価格を対象としています。

<工業統計>

経済産業省が行っている、統計法に基づく国の指定統計調査です。
(ア)「製造業」に属する事業所(国営を除く)を対象として、
(イ)毎年末(12月31日)現在の、
(ウ)事業所数、従業員数、製造品出荷額、原材料使用額などを調査し、
(エ)工業の実態を明らかにすることを目的としています。
日本の工業動向の実態を明らかにし、各種政策等へ反映するために行われています。そのため「製造業の国勢調査」とも言われています。

<商業統計>

こちらは工業統計の商業版です。日本の商業活動の実態を明らかにするのが目的です。商業(卸売業、小売業)を営む全ての事業所が対象となっています。5年ごとに18項目から成る本調査を、その2年後に9項目から成る簡易調査を行っています。

<産業連関表>

経済活動というのは、各産業が個別に存在しているわけではありません。産業相互間、あるいは産業と家計などの間で密接に結びつき、相互に影響し合っています。このような各産業間の結びつきの強さなどを一覧表にしたものが産業連関表です。素材屋→加工屋→部品屋→製品屋といったような、産業同士の関連を数値で表しています。

<景気動向指数>

英語では DI(Diffusion Index)と言います。
これまで見てきた通り、景気を測る指標には様々なものがあります。しかし、どれも一長一短で、「これを見れば景気動向が全てわかる!」といったものはありません。そこで考え出されたのがこの指数です。
いくつかの代表的な指数の状態を見て、改善/悪化といった状態を確認します。「改善」となった指数の数で景気動向指数の値が決まります。(詳細省略)


以上、景気動向を知ることができるいくつかの指数を紹介しました。
聞いたことがあるものもあれば、初めて聞いたようなものもあると思います。
そうでなくとも、具体的に指数の意味を知っていた方は少ないのではないでしょうか。良い機会なので、この際覚えてみてはいかがでしょうか?

# 本日の記事は厚生労働省、経済産業省、総務省のページ他、いくつかのページを参考にさせて頂きました。

---
click!click!click!click!click!
posted by jhirano at 18:34| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学(マクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月15日

景気と景気変動・景気循環

今日はマクロ経済学の中でも、割と身近な「景気」についてです。

<景気>

そもそも、景気という言葉は良く使いますが、何だか説明できますか?
簡単に言うと、「景気」とは経済活動の勢いのことです。

モノが良く売れて、企業が儲かり、社員である個人の所得が増える、このような状況が好景気ですね。経済活動の勢いが強い状態です。
逆に、モノが売れず、企業が儲からず、個人の所得も増えない(または減る)ような状況が不景気です。経済活動の勢いが弱いか後退している状態です。

<景気変動>

景気とは経済活動の勢いですが、それは絶えず変化しています。
好景気の時もあれば、不景気のときもあります。
このように、景気の勢いが変わることを「景気変動」と言います。

<景気循環>

景気変動には一定の波があると言われています。
一定周期で好景気と不景気が繰り返される、というものです。
代表的な周期に、40ヶ月・10年・20年・50年という4つの説があります。
これらの、一定の周期を持った景気変動を「景気循環」と言います。

【1】キチンの波

約40ヶ月の周期を持った景気循環は「キチンの波」と言われています。
これはアメリカの経済学者キチンが明らかにしたもので、企業の在庫投資が約40ヶ月で一巡するということから導き出されました。そのため、在庫(投資)循環、小循環、短期波動などと呼ばれることもあります。

【2】ジュグラーの波

約10年の周期を持った景気循環を「ジュグラーの波」と言います。
これはフランスの経済学者ジュグラーが明らかにしたものです。企業の設備投資が約10年で一巡するということから導き出されました。そのため、設備投資循環、主循環、中期波動などと呼ばれることもあります。

【3】クズネッツの波

約20年周期の景気循環は「クズネッツの波」と言われています。
これはアメリカの経済学者クズネッツが明らかにしたものです。建築物の需要の波が約20年で一巡するということに起因しています。そのため、建築循環と呼ばれることもあります。

【4】コンドラチェフの波

約50年の周期を持った景気循環を「コンドラチェフの波」と言います。
これはソ連の経済学者コンドラチェフが明らかにしたもので、技術革新が約50年周期で起きる、っということに起因しています。大循環、長期波動などと呼ばれることもあります。


個人的にはこれらの4つの波を覚えるときに、それぞれの頭文字を取って「キ・ジュにクズ・コを(喜寿に葛粉を)」と覚えています。(想像しながら)
こういった用語を覚えておくのも悪くはないですよね。
どれだけ役に立つかわかりませんが・・・。

posted by jhirano at 21:35| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学(マクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月14日

貯蓄と投資

マクロ経済の用語に「貯蓄」と「投資」というものがあります。
ここで言う投資とは、株式投資などのような一般的な投資とは意味が異なります。
今日は経済学における貯蓄と投資について述べます。

<消費>

貯蓄と投資を知る前に、「消費」という言葉があります。
消費とは、企業などが稼いだ所得を、現在のために使うことです。
今、必要な費用として使っていくことを言います。

<貯蓄>

消費に対して「貯蓄」とは、稼いだ所得を、将来のために残すことです。
今使わずに、将来必要となる時のためにとっておくのが貯蓄です。

<投資>

「投資」とは、貯蓄を資金源として将来役に立つ物財を購入することです。
物財とは、住宅や生産設備、施設などのことです。
投資の対象となったものは、将来の所得としてお金を稼ぐ源泉となります。

これらの言葉を図示すると下図のようになります。
貯蓄と投資.JPG
図:経済学における消費・貯蓄・投資の概念

これらは現実的はあまり役立たないかもしれませんが、経済学の知識として知っておいても良いと思います。
posted by jhirano at 17:33| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学(マクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月13日

GNPとGDP

国民全体の所得や生み出した価値を考えるときに、2つの概念があります。
一つは「国民」という概念で、もう一つは「国内」という概念です。
それぞれの代表的な指標として、GNPとGDPがあります。

<GNP:Gross National Product>

国内に所在・居住する企業・団体・個人が受け取った所得の総額で、国民総生産と言います。言い換えると、ある国の国民が一定期間内に生み出した付加価値の総額のことです。

付加価値とは、企業などが生産活動で生み出した生産物からその原料などを差し引いたものです。
 付加価値=総生産額−中間財投入額

外国企業が日本で得た所得はGNPの対象外であり、日本企業が外国で得た所得は対象となります。また、最近では所得という視点からGNI(Income)と言われることもあります。

<GDP:Gross Domestic Product>

日本国内における生産活動全体の総額で、国内総生産と言います。
 GDP=GNP−海外から受け取る要素所得+海外へ支払う要素所得
    =GNP−海外からの純要素所得
と表されます。

外国企業が日本で行った生産活動はGDPの対象であり、日本企業が外国で行った生産活動は対象外となります。

GDP統計は、国民経済計算と言われる、国全体としての経済取引を全体的に記録する統計指標の一つです。国民経済計算は、経済のフローとストック、モノとカネの面から経済活動を多面的、包括的に表したものです。

フローとは、一定期間内に行われた生産や取引の量を測ったもので、ストックとは、ある一時点に存在している資産や負債の残高のことです。企業で言うと、フロー=損益計算書(P/L)、ストック=貸借対照表(B/S)と考えるとわかりやすいですね。


企業経営において、これらの基本的な経済指標を把握することは、ビジネスの意思決定上の基本となります。(ちなみに、2003年度の日本の名目GDPは約500兆円です。覚えておきましょう。)
posted by jhirano at 22:01| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学(マクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月12日

国民所得の概念

マクロ経済の用語に、国民所得の(諸)概念というものがあります。
これは、一国全体の経済状況(貧富の状況)を把握するための尺度です。

最も代表的なのがGNP(Gross National Product:国民総生産)です。
1年間や3ヶ月間(四半期)における、その経済で創生された付加価値の総額です。
付加価値とは、企業などが生み出した生産物の総額から、原材料や燃料費などを差し引いた金額のことです。

その他にも、国民所得の概念を表す指標として次のようなものがあります。
国民純生産(NNP:Net National Product)
個人所得(PI:Personal Income)
個人可処分所得
(詳しい解説は別途できればと考えています)

国民所得の概念に対し、国内の概念というものも存在します。
(代表的な指標がGDPです。)
これについては今後解説したいと思います。

あなたの会社はマクロ的な視点で経済を捉えていますでしょうか?
国民所得の概念というものがあることを知っておいても損はないでしょう。
posted by jhirano at 21:58| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済学(マクロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月11日

マクロ経済とミクロ経済

ビジネス活動を行う場合、基本的な経済学に関する知識も欠かせません。
そこで、しばらくは経済学に関する基本的な理論・用語等の解説を行いたいと思います。
(私は経済学の専門家ではないので、知識に深みがないと思いますが…)

最初はマクロ経済とミクロ経済についてです。
経済を捉える際には、大別して2つの見方があります。

<マクロ経済>

経済を把握する際に、国家の経済全体をみて考える見方のことです。
マクロ経済では、経済の三態と言われる政府・企業・家計を総体的に捉えます。
GNP、GDP、雇用統計、鉱工業生産指数、消費者物価指数などの指標・数値により、国家の経済全体の動向を数字で把握するものです。

<ミクロ経済>

経済を把握する際に、企業や一消費者などの個別主体をみて考える見方です。
ミクロ経済では、より身近な経済の動きや関係をモデルや理論で捉えます。
消費者の選択的行動や、企業の限界生産性、独占禁止などに関する理論・モデル・概念が存在しています。


経済の動きをマクロ/ミクロ的視点で捉えることはビジネスにおいても必要です。
現実のビジネス活動においては、必ずしも理論に従わないのが常ですが、
理論を知ることで考え方が変わるかもしれません。
この際、経済学の基本的な理論・用語等を勉強してみてはどうでしょうか。

---
click!click!click!click!click!
posted by jhirano at 21:51| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスの掟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月10日

顧客の声を聞き過ぎない

今日のタイトルは昨日の記事と相反するようですが、これも一つの真実です。

ソニーのホームページに次のような趣旨が書かれています。(意訳して掲載)

「ソニーはホームページ等で皆様からのアイデア等のご提案を受けることが
 ございます。それらの中には、既に社内で研究・開発を行っているアイデアも
 ございます。その際に皆様との間で誤解や紛争が生じる可能性もございます。
 そういった事態を避けるため、頂いたアイデア等については基本的に一切の
 評価等を行わず、全て皆様に返却させて頂きます。またご提案等をお受け
 することもご遠慮させて頂いております。」 

原文はこちらをご覧ください。 http://www.sony.co.jp/copyright/

なぜソニーはこのような忠告をわざわざ載せているのでしょうか?
答えは簡単で、余計な紛争等を避けるためなのでしょう。
自ら「自分たちはシーズ追求型で生きていく」と宣言しているのです。
(シーズについては「ニーズとシーズ」を見て下さい)

これはある意味、企業としての理想形であり差別化のためには必要な意思です。
なぜなら、顧客の声に全て従うと、差別化ができなくなるからです。
差別化を行い自社の強みを出せないと、企業間競争に勝てないことは周知です。

ではなぜ「顧客の声に耳を傾ける」必要があるのでしょうか?
自分たちの提供したい商品・サービスを生み出すだけでは不十分なのでしょうか。

答えはイエスです。
企業はビジネス・商売をする組織ですから、売れなければ意味がありません。
売れる商品・サービスをつくるためには、顧客の声が必要なのです。

例えば、荷物をたくさん運べる自家用車が欲しいからといって、10tもの荷物を運べる車が必要ですか?例えワンボックスカー程度の大きさでそんな車があったとしても、そこまでの能力は必要ないはずです。つまり、それだけの車を作る技術があったとしても、顧客が必要としないものを売っても儲けにつながらないのです。

ただし、より速く、燃費良く、維持費が安く、安全で快適な車を欲しいとは思います。そういった基本的な要求には耳を傾けるべきなのです。例えば、4人家族の家庭が、2人乗りのスポーツカーを買おうとは思いません。そういった意味での「基本的な要求」です。

基本的な要求に耳を傾け、そこに自社の独自性を追加する、これが差別化です。
顧客は同じ「自動車」を買うにしても、好みによって選べることを期待します。
顧客のライフスタイルを想定し、声に耳を傾け、独自性を追加して差別化する、
これが今の企業に求められる姿ではないでしょうか。
posted by jhirano at 15:39| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスの掟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月09日

顧客の声に耳を傾ける

あなたの会社・チームは顧客の声を聞くシステムがあるでしょうか?
システムとは、顧客の声を集め、それを社内展開し、商品・サービスに反映させる、そんな一連の仕組みのことです。

そもそも、あなたの会社・チームにとっての顧客とは誰でしょうか?
ビジネスの3原理でも書きましたが、誰に売るのでしょうか?

まずは顧客(誰に)を明確にし、顧客の声を集めるチャネルを作りましょう。
チャネルとは窓口のことです。
ホームページ、コールセンター、営業担当、保守・サービス担当、アンケート、テレマーケティング、、、効率的に顧客の声を集めるチャネルを用意しましょう。

チャネルを用意したら、顧客から「何を」集めるのか考えましょう。
どんな情報を集めて、自社の何に生かしていくのか決めましょう。

商品開発に生かすのであれば、改善提案や顧客がどのように使っているのか、といった情報を集めましょう。サービス改善に生かすのであれば、接客態度への感想やサービスレベルへの期待感、といった情報を集めましょう。

何を集めるか決めたら、それを社内で共有する仕組みを準備しましょう。
もしかしたら有益な情報を担当者個人だけが抱えているかもしれません。
それを集めるのは、ITシステムでも、上司とのミーティングでも構いません。
秘密にしたいと考える担当者もいますが、周りに知らせたいと考えている担当者もいます。その人たちを“救う”仕組みが必要です。

それが出来たら、その中から有益な情報を探す仕組みを持ちましょう。
ITシステムに情報を登録してもらったとしても、その中の情報は玉石混交です。
全ての情報を全員が見る必要はありませんし、そんな時間もありません。
有益な情報を探し出し、適切な人(部署)に伝える仕組みが必要です。
これはITシステムでも、人的なシステムでも構いません。
誰かが情報を処理して適切な人に伝える、そんなシステムでも構わないのです。

顧客の声を適切な人に伝えたら、伝えられた人は顧客への回答を考えましょう。
商品改善要望であれば、それを反映させるのかしないのか、回答しましょう。
回答することで顧客は満足感を得られます。放置すると不満感が増します。


とにもかくにも、顧客の声を集めるシステムは必要です。
 (1)チャネルを用意する
 (2)何を集めるのか決める
 (3)社内展開する仕組みを作る
 (4)適切な部署が判断する
 (5)顧客へフィードバックする
このような流れが必要です。

この一連の流れを整備し、顧客の満足感を高められる企業が今後も伸びることでしょう。

posted by jhirano at 11:06| ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | ビジネスの掟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月08日

ニーズとシーズ

今日はニーズとシーズという言葉について書きます。
なお、これは後日書く予定のコラムへの“前振り”のようなものです。

ビジネスの世界では「ニーズ」と「シーズ」という言葉を聞きます。
ニーズ(needs)とは顧客の「獲得要求」のことです。
一方、シーズ(seeds)とは企業の「提供要求」のことです。

つまり、顧客(お客様)が「こんなものを欲しい」と思うのがニーズ、
企業が「こんなものを提供したい」と思うのがシーズです。

近年では、ニーズが益々高度化・多様化・多質化し、シーズとの食い違いが大きくなっていると言われています。「お客様の要求に応えきれない」という現象です。

高度成長期はテレビ・冷蔵庫・洗濯機が求められ、その本質は見る・冷やす・洗うという“基本機能”への要求でした。最近は、より薄く/大きく・より長持ち/省エネ・より白く/乾燥などといった、高度な要求に変わってきています。

これらのニーズとシーズのマッチングが企業に求められる価値です。
いくら「プラズマディスプレイを提供したい」と企業が考えても、お客様が「液晶が欲しい」と思っては期待に応えることはできません。
結果として、いかに優れた技術であっても、企業のシーズだけでは売れないことになります。

ニーズにもシーズにも「譲れない一線」というものがあると思います。
それをどのように調和させ、ニーズを満たしながらシーズに沿った形で商品を提供し、利益を出していくのか、これが今の企業に求められています。

極めて難題ですが、ニーズとシーズの追求を怠らないようにしましょう。
posted by jhirano at 14:53| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスの掟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月07日

キャッシュフロー経営

BSC の解説をした際に、財務の視点でキャッシュフローがあると書きました。
今日は基本的な3つのキャッシュフローについて書きたいと思います。

<なぜキャッシュフローが注目されるのか>

一昔前までは、キャッシュフローと言う言葉自体、あまり聞きませんでした。
売上高、(営業・経常・純)利益、資産、資本というのが主な財務指標でした。

しかし、実際の取引では利益の額だけ現金があるわけではありません。
例えば、500円で仕入れたものを 1,000円で売ったとしましょう。

この時、仕入れは現金で、販売はツケ(売掛金)で行うとどうなるでしょう?
名目上は売上高 1,000円、利益 500円となります。
しかし、ツケを回収できるまでは現金は -500円のままです。
ここに利益と現金との間で差が出来るわけです。

こうなると、次の商品を仕入れるための現金がなくなります。
さらに、ツケが回収できないと名目上は黒字でも現金がなくなってしまいます。
こうして運転資金がなくなることを「黒字倒産」と言いますよね。

そのような現金不足を表向きに出したのがキャッシュフローという数値です。
これを見ると、その企業が現金をいくらもっているのか、一目瞭然です。

<3つのキャッシュフロー>

では具体的にどのような指標が使われるかと言うと、以下の3つがあります。

(1)営業活動によるキャッシュフロー
 企業の本業による儲けとして稼ぎ出した現金のことです。
 つまり商品やサービスを仕入れて販売し、代金回収したお金の残高です。
 これがマイナスになるということは、売掛金を回収していないという状況が
 想像でき、最終的に回収不能となる恐れもあり、問題です。

(2)投資活動によるキャッシュフロー
 企業の投資活動による現金の流れを表す数値です。
 設備投資や有価証券の取得・売却などを指すため通常はマイナスとなります。

(3)財務活動によるキャッシュフロー
 企業の事業活動を維持するために必要とする資金の調達・返済を表します。
 借入や社債発行等でお金を得た場合はプラスとなります。
 逆に、借入金の返済を行った場合などはマイナスとなります。

<キャッシュフローの評価>

基本的には上記の3つの値の合計が評価指標となります。
事業年度や四半期などでこれらの値を算出し、その合計がプラスであれば現金・現金同等物が増えているという意味で、マイナスであれば減っているということになります。もちろん増えていることが望ましいのですが、増えた分を株主に還元するなどの施策を行うと、評価も上がります。

要は、運転資金として十分な現金(同等物)を持ち、必要以上に貯め込まないことが評価につながるのではないでしょうか。
現金の収支を公表すること、これもビジネスの掟の一つです。
posted by jhirano at 14:52| 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | ビジネスの掟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。