2005年06月27日

効用理論

前回は効用、効用関数、限界効用という言葉について説明しました。
今回はこれらを含み、効用と消費者行動との関係を説明します。

<期待効用>

理論を単純化するために、サイコロゲームというものを考えます。
サイコロを振って出た目から、aの確率でx1という金額が得られ、1−aという確率でx2という金額が得られるとします。

この時の効用関数は、
 U(x)=a・u(x1)+(1−a)・u(x2)
となります。
これは、x1、x2から得られる効用の期待値の和となります。

これが、サイコロゲームに対する期待効用です。
一般的には、この期待効用を最大化したいと考えるのが個人の行動です。

<サイコロゲーム>

具体的に考えます。次のゲーム例(1),(2)を見てください。

(1)サイコロを振って、奇数が出たら1,000円もらえる、偶数が出たら1,000円払う。

この時の期待効用は、上記の式を使うと次のようになります。
 U(ゲーム1)=1/2・u(1,000)+1/2・u(-1,000)
今、10,000円手元に持っていたとすると、奇数・偶数が出る確率は1/2ずつなので、期待効用は 11,000円と 9,000円の場合の効用の中間点になります。(図1)
この時は基本的に、期待効用は下がる傾向にあります。

ゲーム1.JPG
図1:ゲーム(1)の期待効用

このように、ゲームの期待値が0のゲームを「公平なゲーム」と呼びます。

(2)サイコロを振って、1が出たら10,000円もらえる、その他が出たら1,000円払う。

この時の期待効用は、同様に次のように成ります。
 U(ゲーム2)=1/6・u(10,000)+5/6・u(-1,000)
今、10,000円手元に持っていたとすると、1が出る確率は1/6、その他が出る確率は5/6なので、期待効用は 20,000円と 9,000円の効用の 5/6の位置になります。(図2)
この時は、もしかしたら期待効用が上がるかもしれません。

ゲーム2.JPG
図2:ゲーム(2)の期待効用

このゲームは期待値が0ではないため、公平なゲームとは言えません。
しかし、このゲームの参加費が期待値(5,000円)と同額である場合、そのゲームを「公平なゲーム」と呼びます。

<危険回避行動>

世の中にはゲーム(2)のような、挑戦者に有利なゲームはほとんどありません。
公平なゲームか、もっと不利なゲームがほとんどです。
公平なゲームについては、挑戦した場合の期待効用が下がることを示しました。

一般的に、個々人は危険回避行動を取ると言われています。
従って、たとえ公平なゲームであっても全体としての期待効用が下がる以上、そのゲームには挑戦しない、というのが消費者の行動心理となります。

ところが、ゲームの参加自体への効用というものがあるため、賭け事や宝くじといったものは永遠になくならないのです。


ということで、2回に渡り効用理論というものを説明しました。
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2005年06月25日

効用関数

ミクロ経済における消費者行動の分析理論として「効用理論」というものがあります。
これについて、次回との2回に渡り説明したいと思います。
今日は「効用」「効用関数」というものを説明します。

<効用>

経済学における「効用」とは、「財やサービスが消費者の欲望を満足させる度合い」を意味します(大辞林より)。消費者は何かを購入すると、「製品それ自体からの効用」と「取引からの効用」を得ることができます。(もちろんこれに「支払い価格」というマイナス要因があります)欲望を満足させるもの、これが効用です。

効用という概念は「総効用」と「限界効用」に分けることができます。
総効用とは、消費する財全体から得られる満足の大きさのことです。
限界効用とは、財の消費量を1単位増加した時に得られる総効用の増加分のことです。

<効用関数>

総効用というのは、消費量が増えるほどその増加率が小さくなります。(図1)
これは例えば、100万円が200万円になるとうれしいけど、500万円が600万円になってもそれほどはうれしくない、という理屈と同じです。同じ100万円という増加分が、満足感の上昇に違いを起こしているのです。図1は効用関数と言います。

効用関数.JPG

図1:効用関数

これを消費量と限界効用の関係で表したのが図2です。
このような消費者行動を「限界効用逓減の法則」と言います。
(逓減(ていげん):時と共にだんだん(徐々に)減ること)

限界効用逓減の法則.JPG

図2:限界効用逓減の法則

一般的に、家計はこの効用水準を可能な限り大きくするように行動する、と言われています。


以上、本日は効用と効用関数について説明しました。
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2005年06月24日

市場の失敗

今日はミクロ経済における「市場の失敗」という言葉について説明します。

<市場の失敗>

前々回の「需要と供給の調整機能」で説明しましたが、現実の経済・市場においては「完全競争」というものはほとんど存在していません。経済学の世界では、こういった状況を含め市場メカニズムがうまく作用しない場合を「市場の失敗」と呼んでいます。(これは広義の市場の失敗で、狭義には完全競争が成立しているのに、効率的な資源配分が行われない場合を市場の失敗と言います。)

市場の失敗の具体的な状況は、様々な分類で考えられています。ここでは、(1)不完全競争、(2)外部効果、(3)公共財という3つの状況を説明します。

<(1)不完全競争>

生産者が1社(独占)または少数(寡占)であると、生産者側に価格をコントロールできる力が生じます。消費者側は選択権が少なく、生産者側の決めた価格・供給量に従わざるを得ません。こういった状況は政府の独占禁止政策などで制限されます。詳しくは別途、完全競争/不完全競争について説明したいと思います。

<(2)外部効果>

外部効果とは、ある経済主体の行動が、市場を通さずに他の経済主体に影響を与えることを言います。例えば、工場が排煙・排ガス・廃水などで環境汚染をすることは、お金のやり取り(市場)を通して行っていることではありません。そこで生産された製品には、環境汚染費用というのは含まれていません。

市場の動き(製品の売買)と社会的な資源配分に乖離ができてしまう、という状況に陥ります。市場的には良くても社会的に別の影響を与える、これは狭義の市場の失敗に含まれます。

<(3)公共財>

公共財とは、公園や道路といったような受益者負担の難しいものを言います。例えば、公園のブランコは利用しないのでお金を払いません、とは言えません。あれば使うけど、なくても自らがお金を払ってまで作ろうとは思わない、というようなものです。

こういったものは政府や役所が税金を使って供給することになります。その際の決定権(何を、いつ、どれだけ作るか)が問題になります。実際には政府や役所・議会といった社会的に供給が調整されるため、市場の問題ではなくなります。公共財は生産・費用の流れが発生するものですが、市場ではなく社会的な議論となりますので、これも狭義の市場の失敗の一つとなります。


以上、本日は市場の失敗という言葉について説明しました。
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2005年06月23日

需要と供給と弾力性の概念

今日はミクロ経済学における「弾力性」という概念について説明します。

<需要の価格弾力性>

一般的に、価格が上がると需要は減少すると言われています。
この時、価格が1%変化した時に、需要が何%変化するかを表す指標を需要の価格弾力性と言います。

需要の価格弾力性 = 需要量の変化率 / 価格の変化率

価格が上がると需要量は下がります。価格が下がると需要量は上がります。
つまり、需要の価格弾力性は必ず負の値になります。
そこで、一般的には絶対値の値を使って、弾力性=+○○と言います。

弾力性が1より大きい時、「需要は弾力的である」と言います。
この時、価格が1%変化する時の需要量の変化率は1%より大きくなります。

弾力性が1より小さい時、「需要は非弾力的である」と言います。
この時、価格が1%変化する時の需要量の変化率は1%未満になります。

<供給の価格弾力性>

需要の価格弾力性と同様に考えます。
つまり、価格が1%変化した時に、供給が何%変化するかを表す指標を供給の価格弾力性と言います。数値は同様に絶対値を使うのが一般的です。

供給の価格弾力性 = 供給量の変化率 / 価格の変化率

弾力性が1より大きい時、「供給は弾力的である」と言います。
この時、価格が1%変化する時の供給量の変化率は1%より大きくなります。

弾力性が1より小さい時、「供給は非弾力的である」と言います。
この時、価格が1%変化する時の供給量の変化率は1%未満になります。


以上、本日は弾力性という概念について説明しました。

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2005年06月22日

需要と供給の調整機能

前回は市場メカニズムと市場の均衡について簡潔に紹介しました。
今回は、需要と供給が均衡していない時の、市場の調整方法について説明します。

<完全競争>

一般的に経済学では、市場を完全競争というモデルとして想定しています。

完全競争市場とは以下のようなモデルです。
・多数の小規模な買い手と売り手が存在する。
・売り手が生産する同一種の商品には差別性が無い。
・売買に制約はなく、消費者も生産者も好きなだけ売買できる。
・売り手と買い手を結ぶのは市場メカニズムで調整された価格である。

詳しくは別途説明しますが、今回の「需要と供給の均衡」も完全競争を前提としたものです。

<需要と供給の調整>

需要と供給に均衡が保たれていない場合、以下の3つの調整過程によって市場は均衡状態に向かいます。

(1)ワルラスの調整過程
 需要が供給を上回っている時に、価格が上昇して均衡状態に向かう。
 需要が供給を下回っている時に、価格が下落して均衡状態に向かう。

(2)マーシャルの調整過程
 需要が供給を上回っている時に、生産量が増えて均衡状態に向かう。
 需要が供給を下回っている時に、生産量が減って均衡状態に向かう。

(3)クモの巣の調整過程
 価格の上下変動と生産量の増減が交互に起きながら均衡状態に向かう。
 ((1)と(2)が交互/同時並行的に起きる。)

このように完全競争の元では、自動的に市場の均衡が達せられると考えられています。(実際は完全競争自体がほとんどないので、机上の空論ですが。)

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2005年06月21日

市場メカニズム・市場均衡

今日からミクロ経済の説明に入りたいと思います。

以前も述べたように、マクロ経済は「国家の経済全体をみる」ことでした。
ミクロ経済は「企業や一消費者などの個別主体をみる」考え方です。
こちらの方が身近なので、よりわかりやすいかと思われます。

<市場メカニズム>

まず最初は「市場メカニズム」についてです。
市場メカニズムを簡単に言うと「モノの需要と供給は、その価格によって調整される、資源配分の仕組み」ということです。要は、欲しい人が多ければ高く売れる、モノが多過ぎると安くしか売れない、という現象です。これを経済学では市場(しじょう)メカニズムと呼んでいます。

これを端的に説明した、よく見かける図が下記のものです。

需要曲線と供給曲線.jpg
図:市場メカニズムの需要曲線と供給曲線

需要曲線はモノを欲しがる強さの変化を表したもの、供給曲線はモノを売りたがる強さの変化を表したもの、です。価格が下がれば購買量は増え、価格が上がれば生産量(売りたい量)が増える、というものです。実際の経済ではこれほど単純ではありませんが、現代経済の基本とされるわかりやすいメカニズムです。

<市場均衡>

上図のE点の状態を「市場の均衡」と言います。モノの売れ残りも品切れも生じないような状態です。現代では、市場の動きに任せれば自動的にこの状態で安定するようになると考えられています。つまり、現代の経済には市場メカニズムに対する信頼がある、ということです。


以上、簡単ではありましたが本日はミクロ経済学の基礎である市場メカニズムについて説明しました。

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